片側顔面けいれんとは
顔面けいれんは、顔面の筋肉が自分の意に反してけいれんする病気です。似たような疾患に眼瞼けいれんがあります。緊張やストレスで出現する点は同じですが、顔面けいれんでは、眼瞼のみではなく目の周囲や口の周囲に及びます。けいれんの範囲や頻度が次第に増え日常的に生じるようになることもあります。顔面けいれんの原因の一つとして、脳の深部で顔の筋肉を動かす神経(顔面神経)に血管が接触して、圧迫・刺激されて生じている場合があります。
当院における治療方法
片側顔面けいれんのほとんどは生命に関わる病気ではないので、患者さんが気にならないようなら経過観察することもあります。内服薬もありますが、薬で症状を緩和できない場合、治療法は ①ボツリヌス毒素注射 ②手術(微小血管減圧術)の2通りあります。ボツリヌス毒素での治療は2000年に保険適応となり、安全性と有効性が高い治療法です。1回注射をすると数日で効き始め、4ヶ月ほど症状が緩和されます。効果が切れてきたら再注射を行います。職業などで完治を希望したり、発症から長い年月が経って症状が強くなった患者さんには手術が検討されることがあります。神経に接触・圧迫している血管をMRIで特定したうえで、開頭手術を行い接している血管を神経から引き離すようにします。
三叉神経痛とは
三叉神経痛は電気のような激しい顔面の痛みが片側に生じる病気で、片側顔面けいれんと同様に三叉神経という顔面の感覚の神経に血管が当たって生じている場合があります。薬で症状を緩和できない場合、その痛みは耐え難いものであるため手術が検討されます。片側顔面けいれんの手術と同様、神経に接触・圧迫している血管をMRIで特定したうえで、開頭手術を行い接している血管を神経から引き離すようにします。