硬膜動静脈瘻とは
硬膜動静脈瘻は、脳や脊髄を覆う膜(硬膜)を栄養する動脈から、毛細血管を介さず直接静脈へ血流が流れ込む病気です。脳や脊髄の様々な部位に発生し、静脈血の流れるスピードや流れる方向により多彩な症状を引き起こします。時に痙攣や脳出血を併発することがあります。
当院の治療方法
関連する症状がある場合や出血を併発した場合は、血管内治療・定位放射線治療(ガンマナイフ)・外科治療の単独または組み合わせにより治療しますが、血管内治療を行うことが多く、硬膜動静脈瘻の病変部に対して ①オニキス ②NBCA(N-butil cyanoacrylate)などの液体塞栓物質やプラチナコイルでの塞栓を行います。
脳動静脈奇形とは
脳動静脈奇形(AVM)とは、脳内で動脈と静脈の直接吻合を生じている先天性疾患です。吻合部には異常な血管塊(ナイダス)が認められます。通常の脳循環では、動脈〜毛細血管〜静脈の順に血流が流れますが、AVMでは毛細血管が欠損しており、流入動脈〜ナイダス〜導出静脈の順に血流が流れます。動脈の圧が直接静脈に加わるため、ナイダスが徐々に増大することがあり、ナイダスが増大して破裂すると、くも膜下出血や脳出血などの出血を起こします。また、破裂しなくても、痙攣発作、精神症状、頭痛、脳虚血発作、心不全などを引き起こすことがあります。
当院の治療方法
脳動静脈奇形(AVM)は、未出血AVMの年間出血率は2.2%、出血例では4.5%、とされています。出血した場合、命に関わるリスクが29%、後遺症のリスクが27%であり、予防的治療を考慮する必要があります。一方、最近の海外研究では、内科的治療の優位性が指摘されていますが、長期成績については未だ結論が出ていないのが現状です。治療としては、①開頭手術 ②定位放射線治療 ③血管内治療などの単独または組み合わせにより治療します。当院では未破裂で集学的治療が必要な場合は大学病院や放射線治療が可能な施設へ紹介するようにしています。