ロボット支援手術ダビンチ

患者さんへの負担を軽減。
身近になったロボット
手術で精密・正確な手術を地域へ

ダビンチとは

第4世代にあたる最新鋭機「da Vinci Xi」を
2022年6月に導入しています。

手術支援ロボット「ダビンチ」は、アメリカで開発された手術支援ロボットです。
患者さんのからだに5-12mmの小さな穴をあけ、ロボット専用の手術器具(内視鏡・メス・鉗子)を動かして行う内視鏡手術です。そのため、開腹手術などの一般的な手術に比べて、患者さんの身体に係る負担が少ないことが特徴で、さらに従来の腹腔鏡手術に比べて、細やかな操作や手ぶれが補正されるため、精密な手術操作が可能となります。

手術支援ロボット「ダビンチ」のしくみ

    ロボット部
    (ペイシェントカート)

    4本のロボットアームがあり、先端は人の指のように動きます。

    映像カート
    (ビジョンカート)

    モニターに手術中の画像が映し出され、手術スタッフも同じ画像が共有されます。

    操作部
    (サージョンコンソール)

    術者が操作席に座り、3D画像を見ながら手元のコントローラーを操作します。

内視鏡手術との違い

01

手ぶれ補正機能

手先の細かな震えを抑え、確実な動きだけを伝え安全性を高める手ぶれ補正機能を備えています。

02

3Dモニターを通しての操作

コンソールモニターには高画質で立体的な3Dハイビジョンシステムの手術画像が映し出されます。

03

精緻な手術

コントローラは2本ですが、フットペダルの切り替えで、3本の鉗子と1本の内視鏡の合計4本を術者が自在に操り、精緻な手術が実行できます。

特徴・メリット

「ダビンチ」手術は、術後の痛みが少なく、
早期の社会復帰を可能にできます。

傷口が小さいため、術後の回復が早い傾向にあります。開放手術よりも1週間以上も入院期間が短縮されたり、体の機能をできる限り残すことができ、合併症のリスクも大幅に低減できます。

主な特徴

01

精密・正確な手術

内視鏡カメラとアームを挿入し、術者が3Dモニターを見ながら遠隔操作で装置を動かすと、その手の動きがコンピュータを通してロボットに忠実に伝わり、手術器具が連動して手術を行います。

02

術後の痛みが少ない

小さな傷口のみで行われる手術なので、皮膚や筋肉を切開した痛みはほとんどありません。出血量を極端に抑え、術後の疼痛を軽減、機能温存の向上や合併症リスクの大幅な回避などがあります。

03

鮮明な3D視野

ダビンチの鉗子は、可動域が極めて広いため、従来の内視鏡手術用鉗子では難しかった操作もできるようになりました。さらに手ぶれ補正機能があり、細い血管の縫合や神経の剥離など細かい操作もより安全かつ正確に行えます。

04

広い可動域と手ぶれの排除

ダビンチの鉗子は、可動域が極めて広いため、従来の内視鏡手術用鉗子では難しかった操作もできるようになりました。さらに手ぶれ補正機能があり、細い血管の縫合や神経の剥離など細かい操作もより安全かつ正確に行えます。

患者さんへのメリット

01

傷が小さく痛みが軽度

ダビンチ手術では開腹手術よりも切る部分が小さいため、極めて少ない出血量かつ手術後の疼痛が軽減されます。

02

機能の温存が向上

人の手より大きな可動域と手ぶれ補正機能で、体の機能を温存させる手術が期待できます。

03

術後の回復が速く入院期間が短い

傷がとても小さいので、術後の回復が早く入院期間が短く、社会復帰が早くできるというメリットもあります。

対応疾患と実績

利根保健医療圏を中心に近隣の医療に貢献できるよう順次対応疾患を拡大中。

当院では、泌尿器科や外科の疾患に対し「ダビンチ」を導入しております。今後も、順次対応疾患を拡大してまいります。

泌尿器科

前立腺は骨盤深くにある臓器です。骨盤が狭い患者さんの手術は、従来の開腹手術では大変な困難を伴いますが、ダビンチを使用することで、その操作が安全で容易になりました。腹部(おへそ)のあたりから鉗子類を6か所の穴から挿入し、前立腺と精嚢という精液をためる袋を一緒に摘出し、膀胱と尿道を縫い合わせます。

症例数
68件

症例数の統計期間:2022年6月1日~2024年5月

前立腺がん

腎臓がんの手術には、2つある腎臓のうち片方の腎臓を摘出する根治的腎摘除手術と、腫瘍の部位のみを切除する腎部分切除があります。腎部分切除術は、腫瘍とその周辺組織のみを切除し、正常な腎臓を温存する手術術式です。一般的に約4㎝以下(小径腎がん)の単発腫瘍であれば部分切除が行われるようになっています。腹部(おへそ)のあたりから鉗子類を6カ所の穴から挿入し、腎動脈の血流をいったん止めて腫瘍を切除、開いた腎実質(腎臓の実質的な働きを担う部分)や腎杯・腎盂(尿の流れる所)を縫い合わせます。
腎摘除術は、腎臓の血管をすべて切離し、腎臓を丸ごと摘出します。開腹手術に比べて小さな切開で手術を行うことができ、術中・術後出血が減少されます。

症例数
腎部分切除:5件
腎摘除術:13件

症例数の統計期間:2022年6月1日~2024年5月

腎がん

腎盂がんおよび尿管がんは多発・再発する特徴をもつため、病側の腎臓から尿管、膀胱内の尿管口までをすべて摘出する必要があります。従来の腹腔鏡手術と比較してダビンチ手術では入院期間が短く、合併症が起こる確率も低く、手術前後の治療成績に差がないもしくは優れていると報告されており、当院でも積極的にダビンチによる手術を行っています。

症例数
1件

症例数の統計期間:2022年6月1日~2024年5月

腎盂・尿管がん

外科

結腸のダビンチ手術では、従来の開腹手術や腹腔鏡手術では困難であったお腹の深部の手術操作が効率よくなり、複数の細い血管を切り離す・繊細な処置も可能となります。術後経過は、術翌日には離床と飲水が開始になり、術後3日目以降に食事が再開になります。その後の経過が良好であれば、術後6日程度で多くの方が退院になります。

症例数
26件

症例数の統計期間:2022年6月1日~2024年5月

結腸がん

肛門に近い直腸にできた直腸がんに対する手術は、狭い骨盤内で隣接する他臓器を損傷せずにがんを摘出する必要があるため、正確な知識と高度な技術を必要とします。ロボット支援下手術の特徴である鮮明な3D画像や自由度の高い鉗子は、直腸がん手術では特に有効であり、開腹手術や腹腔鏡下手術に比べてより正確で安全な手術手技を行うことが可能です。

症例数
10件

※症例数の統計期間:2022年6月1日~2024年5月

直腸がん

医師より皆さまへ

ダビンチの手術は、関連学会が推奨するトレーニングを受けた医師のみが操作できます。
当院には6名の医師が在籍しています。

副院長 泌尿器科担当部長 小林 裕

済生会加須病院は恩賜財団として、
ダビンチ手術により地域医療に貢献します。

2022年6月の新築移転とともに、手術支援ロボット「ダビンチXi」を導入でき、従来行ってきた腹腔鏡下手術の多くがダビンチで行えるようになりました。ダビンチ手術では、術者の手元の正確性はもちろんのこと、鮮明な映像を助手の医師や看護師、臨床工学技士などの手術を行うチームメンバーと共有が図れるという面でも恩恵があります。済生会は恩賜財団として地域医療に貢献することを目的に設立した病院です。ダビンチ手術により地域医療に貢献できると考えています。これからも安全安心な高度の医療を提供できるように努力してまいります。

泌尿器科科長 溝口 晋輔

ダビンチのさまざまなメリットを活かし、
より「繊細」で「安全」な手術を提供します。

ダビンチ手術では良好な視野のもと、震えのない微細な動きができる鉗子の操作ができるため、開腹手術と比較してさまざまなメリットがあります。たとえば、腹部の傷が小さく痛みも少ない/出血が少ないなどがあげられ、特に前立腺の場合は、手術後の尿失禁の回復が早い/手術後の性機能障害からの回復が早いことがあげられます。手術後の回復が早い=入院期間が短縮できるため、早期の社会復帰も可能です。より「繊細」で「安全」なダビンチ手術を提供してまいります。

泌尿器科医長 石山 亮

より高度で、患者さんの体の負担が少ない
ダビンチ手術の普及に貢献します。

ダビンチ手術は体の負担が少ない小さな手術創で、従来の開腹手術よりも繊細で確実な手術操作が行える点がメリットとしてあげられます。特に泌尿器科領域では、骨盤の奥深い位置にある前立腺や膀胱の手術・より繊細な操作が求められる腎がんの部分切除術でダビンチのメリットが発揮すると言われています。より高度で、患者さんの体の負担が少ないダビンチ手術の普及に貢献してまいります。

外来長 外科担当部長 宮田 量平

ダビンチ手術で可能な限り、
患者さんとそのご家族のご希望に添えるよう最善を尽くします。

ダビンチの長所は、多関節機能・手ぶれ補正・助手いらずのソロサージェリーの3点です。従来の腹腔鏡手術に比べ、繊細な手術が可能となり、病気をより確実に安全に直すことができます。また、ダビンチ手術のチームとしての知見・経験値の蓄積は治療全体の質・精度・安全性の向上にもつながっています。今後は、胃や肝胆膵の領域、鼠径ヘルニア根治術においてもダビンチ手術を導入していきたいと考えています。他の病院で切除が厳しい、高齢で手術が心配という方もいらっしゃると思いますが、ご遠慮なくご相談ください。患者さんとそのご家族とともに一緒に方法を考え、可能な限りご希望に添えるよう最善を尽くします。

外科副担当部長 木戸 知紀

今まで以上に患者さんの治療選択の幅を拡げ、
高度な医療を地域の皆さんに提供します。

ダビンチ手術は腹腔内で手のように自在に鉗子を動かすことができ、従来の腹腔鏡手術に比べてより正確な手術が可能です。特に難易度の高い直腸の手術では、患者さんにとって高い根治性と肛門を温存し人工肛門を避けるなど最大限の機能温存が可能となる手術が行えることがメリットと感じています。これらの神経をより確実に温存することで、直腸術後合併症の一つである性機能障害・排尿障害の減少が期待できます。開腹・腹腔鏡・ロボット支援下手術とそれぞれ一長一短がありますが、患者さんの治療選択の幅が拡がり、今まで以上に高度な医療を地域の皆さんに提供できると考えています。

外科副担当部長 原 仁司

患者さんの治療後の生活の質向上に貢献できるよう、
チームで治療にあたっています。

従来の腹腔鏡手術は、腹腔鏡の鉗子部分が直線でシーソーのような動きしかできないため、縫合(組織と組織を縫い合わせること)などの操作が難しい場合がありました。ダビンチ手術では、術者の指や手首の動きが電気信号で手術支援ロボットに伝えられるため、人の手よりも安定した自然な動きができ、腹腔鏡手術をはるかに上回る操作が可能になりました。また、手術は医師だけでなくオペ看護師や臨床工学技士といった手術室スタッフの協力によりよい手術を患者さんに提供しています。患者さんの治療後の生活の質向上に少しでも貢献できるよう、チームで治療にあたっています。

よくあるご質問

「ダビンチ」手術に関して、当院に患者さんや一般の方から多く寄せられるご質問と、その回答をまとめました。

A

かかりつけの医師とご相談のうえ、当院の入退院支援センターを通じて、泌尿器科・外科へのご予約をお願いします。または当院を受診中の方は主治医にご相談ください。

予約方法はこちら

A

手術が必要となるすべての疾患でダビンチによる手術が行えるわけではなく、泌尿器科・婦人科・外科などの分野において使用されています。当院では、「前立腺がん」「腎がん」「腎孟がん・尿管がん」「結腸がん」「直腸がん」においてダビンチ手術を実施しています。

A

それぞれの疾患や患者さんの年齢・所得などさまざまな条件によって負担する手術費用は異なりますが、高額療養費制度をご利用になられた場合は他の手術と変わりありません。ロボット支援手術は保険適用範囲が徐々に拡大されており、当院では前立腺がん、腎がん、膀胱がん、結腸がん、直腸がんの手術を実施していきます。


<前立腺がん=腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)の場合>

健康保険が適用され、次のとおりとなります。
例)入院期間10日の場合(※入院期間が月をまたがない場合)
医療費:約160万円(個室料、食事代を除く)
自己負担

  1. ❶70歳未満の方(高額療養費制度を利用した場合)→ 所得により、35,400円から約270,000円
  2. ❷70歳以上の方 → 所得により、15,000円から約270,000円

なお、費用について、手術症例やご加入の健康保険の種類、所得などにより異なる場合がありますので、詳しくはご相談ください。


<結腸がん=腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術(内視鏡手術用支援機器を用いて行った場合)の場合>

健康保険が適用され、次のとおりとなります。
例)入院期間15日の場合(※入院期間が月をまたがない場合)
医療費:約160万円(個室料、食事代を除く)
自己負担

  1. ❶70歳未満の方(高額療養費制度を利用した場合) → 所得により、35,400円から約260,000円
  2. ❷70歳以上の方 → 所得により、15,000円から約260,000円

なお、費用について、手術症例やご加入の健康保険の種類、所得などにより異なる場合がありますので、詳しくはご相談ください。

A

基本的に、開腹手術、腹腔鏡を用いた手術に耐えられる方であれば、高齢でもダビンチによる手術を受けることは可能です。ただし、患者さんの病状や既往歴などにより、適用できない場合があります。治療については、担当医が患者さんと話しあって、病状に応じて最適の方法を決めさせていただきます。

A

ダビンチ手術はまだ導入から歴史が浅いために十分なデータはありませんが、これまでに全国で行われたダビンチ手術における機械のシステムエラーの報告は極めて低いものです。メンテナンスには万全を期しておりますが、万が一にそなえ、当院のスタッフ教育も万全の体制を敷いていますのでご安心ください。また、ロボットを操作する医師は、全員一定のトレーニングを終了し、技術を習得した医師のみです。ダビンチ手術についてはリスクも含め、事前に十分に説明させていただきます。