当院の救命救急センターの福島医師が、「JICAのタンザニア国交通安全プロジェクト」の一環で11月16日から11月30日の期間でタンザニアに赴き、交通外傷症例の救助・救急サービスの改善の支援を行いました。JICAの「医療分野(例えば、病院を建てたり、現地の医師の教育をするなど)」において医師はいるものの、「交通安全分野」には医師はおらず、医師が参加するのが今回初めてとのことで、非常に緊張感をもった活動となりました。

▼福島医師は以下の4点を重点的に支援しました。

救急システムの啓蒙サポート

タンザニアでは、日本でいう、「119」すなわち救急車を呼ぶ番号が国民に周知されておらず、非常に不安定な救急システムとなっていたそうです。この状況を打破するため、様々な部署に働きかけ、SNSやYouTube、フライヤー、その他様々な方法で周知する方向で準備を進め、おそらく12月には啓発活動がスタートできるようサポートをしました。

救急医療システムの提案、傷病者のトリアージ方法の指導

タンザニアでは、数少ない各消防署に救急車がおおよそ1台のみしか配置されておらず、救急救命士もいたりいなかったりという状況。活動期間中に各消防署を訪問、現状を共有し、救急医療システムの提案・傷病者の「トリアージ」の方法を指導しました。

救急救命士によるデモンストレーションの見学

救急救命士によるデモンストレーションを見学しました。非常に円滑に救急活動ができていたが、例えば外傷の症例でネックカラーが必要な場合でも固定を行なっていなかったりするなど、細かい部分の技術の研鑽が必要だと感じたそうです。

救急活動の事象発生から病院での受け入れまでの一連の流れのシミュレーションの実施

11月27日の木曜日に、実際の道路上で交通事故が発生した想定で、大規模なシミュレーションを行いました。事故の目撃者によるタンザニアでの救急コールである”114″コールから救急救命士、警察の連携、そして病院での受け入れまでの一連のフローを確認しました。本シミュレーションは参加者の方々から非常に好評で、今後も継続的に行いたいという意見が多数聞かれました。