9月3日にエーザイ株式会社主催のせん妄・不眠症対策に関する講演会を当院で行いました。今回は、上尾中央総合病院 認知症特定認定看護師の今井氏、日本医科大学付属病院 精神神経科 講師の野上医師をお招きし、講演を行っていただきました。当日は対面にプラスしWeb配信も行い、医師・看護師・その他メディカルスタッフ約110名が参加しました。

「せん妄(せんもう)」とは? 
せん妄とは、身体疾患や薬剤、手術などが原因で起こる、軽度から中等度の意識障害をきたした状態のことをいいます。入院などの環境の変化によっても起こりやすいとも言われています。意識がぼんやりする、不眠・昼夜逆転、錯覚・幻覚、興奮など認知症の症状と似ていますが、短期間のうちに出現する(急性発症)ことが特徴です。また、通常は原因が改善するとせん妄も改善が見込まれます。身体的な治療を受けているすべての患者さんにみられる可能性がありますが、特に高齢の方や認知症の方で起こりやすいと言われています。

上尾中央総合病院の今井氏からは「認知症サポートチームの活動~当院でのせん妄対策~」と題し、認知症ケアチーム(DST)の活動内容やせん妄ケアの重要性などを患者さん・そのご家族、病院職員へ伝える工夫などをお話いただきました。

日本医科大学付属病院の野上医師からは「リエゾンのせん妄・不眠症対策について~当院における取り組みを含めて~」と題し、せん妄や不眠症の症状・原因などの基礎知識をはじめ他疾患との鑑別、その対応方法などを解説いただきました。また、治療的介入のうちの薬物療法について、各薬剤の効果と注意点などをお話いただきました。

今回の講演会ではせん妄の症状や原因・その対策などについてより知識を深めることができました。さらに睡眠のメカニズムと不眠症のための睡眠薬の効用・飲み合わせや医療安全に配慮した薬剤選択の重要性などを知ることができ、学び多い講演会となりました。

当院でも入院中のせん妄への対策を重視しており、医師や看護師・その他メディカルスタッフなどの多職種とともに取り組みを行っています。今回得られた知識を臨床の場でも活かし、より良い医療の提供につなげてまいります。