取り組み

患者さんにやさしい「FFRct」を導入しています

埼玉県済生会加須病院では、新しい心臓の検査である「FFRct(冠動脈疾患診断支援システム)」を2024年6月に導入しました。埼玉県内では当院が5 施設目です。これまで血管にカテーテルを入れないとできなかった検査が、冠動脈CT撮影のみで行えるため、患者さんにやさしい検査でもあります。

FFRct検査とは?

FFRct(冠動脈疾患診断支援システム)は、冠動脈が狭くなって心臓に十分な血液を供給できなくなる虚血性心疾患疑いの方に対して、心臓CT画像をもとにコンピュータで解析を行い、血管が狭くなっていないか(狭窄)、血流を評価できる検査システムです。

「分かりやすい画像」がポイント

解析結果では、血流の状態(重症度)が数値と色で表示されます。血管が狭くなっていないか(狭窄)の状況が可視化される「分かりやすい画像」が大きなポイントです。

信号のようにの順で状態を表します。
に行くほど重症度が高く、は血液の流れが悪くなっていることを示しています。

  • FFRctは、冠動脈CTの画像を解析し、冠動脈の狭窄と血流を同時に評価する検査システム
  • これまで血管にカテーテルを入れないとできなかった検査が、冠動脈CT撮影のみで行える
  • 外来での検査も可能、医療保険も適応される

心臓の血管(冠動脈)が詰まることで血液の流れが悪くなり、心臓の筋肉に十分な栄養や酸素を運べなくなります。その結果、胸が苦しいなどの症状を感じるようになります。

<主な病気の名前>
 ・狭心症
 ・心筋梗塞

冠動脈CT検査は、心臓に酸素や栄養を送る冠動脈と呼ばれる血管の状態を低侵襲で調べることができる検査です。造影剤という薬剤を点滴し、対外からX線を照射して心臓の血管を画像化する検査です。血管が細くなっていないか(狭窄)などの血管の状態を確認することができます。心臓カテーテル検査と比べ、体への負担が少なく、外来で行うことが出来き、経済的な負担も少ない検査です。

当院のCT検査装置

従来の検査方法との違い

従来は冠動脈CT検査で冠動脈に狭くなった部分(狭窄)が見つかった場合、その狭くなった部分(狭窄)が“心臓の働きにどの程度影響を与えているのか?” “症状の原因となっているのか?”を追加の侵襲的カテーテル検査や別の検査を行っていました。特に中等度狭窄(ボーダーライン)と呼ばれる血管が半分程度狭くなっている場合や複数の狭くなった部分(狭窄)がある場合は冠動脈CT検査の結果だけで判断することは難しく、カテーテル検査や他の検査で調べる必要がありました。今回導入したFFRct では1 度の検査で治療方針を決定することができます。

循環器内科 担当医より

この画期的なFFRct検査は、PCI(経皮的冠動脈形成術)という狭心症・心筋梗塞などに対するカテーテル治療を多く行っていること、循環器内科だけでなく心臓血管外科、放射線科などの経営豊富なスタッフがいることなど多くの厳しい施設基準があり、実施施設が限定されています。今回導入したFFRct検査 により、検査入院の必要もなく、身体的・時間的負担の軽減につながります。この新しい技術を生かして患者さんにとってやさしい検査・治療を提供していまいります。

循環器内科 担当部長 寺嶋 豊

FFRct検査についてのご案内

FFRc検査の注意点

  • 他の検査同様に検査費用がかかります
  • FFRct解析は、患者さんの同意書への署名が必要となります
  • 冠動脈CTの画像によっては、解析できないケースもあります
  • 下記の患者さんには行えない可能性があります(一部掲載)

▼下記の患者さんには行えない可能性があります(一部掲載)

  • 造影剤を使用する冠動脈CT検査に不向きな方
  • 通常の冠動脈CT検査で50%以上の狭窄病変が認められなかった方
  • 以前に冠動脈バイパス手術を受けた方
  • その他、医師が不適切と判断した場合

FFRct検査についてのご案内【動画】

FFRct検査についてのご案内(提供:ハートフロー・ジャパン合同会社)

※ページ内で使用している画像・動画はハートフロー・ジャパン合同会社からの提供

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