乳がんについて

乳がんは、乳房にはりめぐらされている乳腺に悪性の腫瘍ができる病気です。40~50歳代の女性に多く、進行するとわきの下のリンパ節や、血流によって肺や骨など全身に転移しやすいので、早期発見が重要です。早期に発見できれば高い確率での完治が期待できるので、定期的な自己チェックや定期検診の受診、食生活の改善などが必要です。

検査内容

  1. しこりや乳頭分泌などの症状がある場合には、視診と触診をします
  2. 画像検査「マンモグラフィー検査」「乳腺超音波検査」と病理検査を行います

マンモグラフィ検査は放射線検査なので妊娠の可能性がある場合は申し出をお願いしています。乳腺超音波検査は妊娠中でも受けられる検査です。当院では両検査とも女性スタッフが担当しています。

診断の流れ

乳がんや良性腫瘍が疑われる場合は確定診断目的で「病理検査」を行います。一般には「針生検」を行います。局所麻酔をして2mmの針で組織を採取して、病理組織検査を行います。組織診断で「乳がん」と確定診断された場合は、さらに針生検で採取した組織を用いて『乳がんのサブタイプ』を調べます。

乳がんのサブタイプ』は全身治療の方針を決定する上でとても重要です。下記の5種類のサブタイプ(乳がん細胞が持つ性質によって分類したもの)があり、サブタイプ別に有効な全身治療が決まっています。必要な治療を選択することが可能です。

治療内容

乳がんの治療は「全身治療」と「局所治療」とがあります。

全身治療

全身治療は、全身に効果がある治療です。「術後補助療法」は再発や転移を予防するために行う治療で全身に拡がっている可能性があるがん細胞を標的とした治療です。「再発治療」も再発臓器と全身を標的とした治療で全身療法の一つです。また、乳がんのしこりを小さくしてから手術を行なう「術前治療」も乳がんのしこりを標的にし、さらに全身のがん細胞にも効果があるので、全身療法の一つです。
すなわち、「全身治療」は、乳がんの予後を大きく左右する治療と考えられています。

局所治療

局所治療は「手術」と「放射線治療」とがあります。乳がんと診断されて第一に頭に浮かぶのは「手術」だと思います。手術は乳房と腋窩(脇の下)リンパ節に対する手術です。乳房の手術は、「乳房切除術」と「乳腺部分切除術」とがあります。また、術前にリンパ節転移が疑われる場合は「腋窩リンパ節郭清術」を行います。転移の可能性がない場合は「センチネルリンパ節生検」を行います。

センチネルリンパ節とは?

センチネルリンパ節とは、腋窩にはいくつかのリンパ節がありますが、そのうち最初に転移を起こすリンパ節のことを指しています。このリンパ節のみを生検して病理検査で転移を認めなければ残りのリンパ節にも転移がないことが証明されています。一方、センチネルリンパ節が転移していた場合は、残りのリンパ節にも転移がある可能性があるので、残りのリンパ節郭清を行います。