薬剤部について

  • 全病棟に病棟担当薬剤師を配置し、薬剤管理を行っています
  • 各種認定薬剤師を中心としてチーム医療に参画しています
  • アンプルピッカーやバーコード認証システムを導入しており、迅速かつ安全な調剤を行っています
  • 化学療法で使用する抗がん剤は薬剤師が調製を行っています

薬剤部概要(2024年6月時点)

常勤薬剤師:20名

薬剤師補助員(事務):4名

SPD:1名

 院外処方せん発行率:92.9%

  • 抗菌化学療法認定薬剤師
  • 感染制御認定薬剤師
  • がん薬物療法認定薬剤師
  • 外来がん治療専門薬剤師
  • 救急認定薬剤師
  • 緩和薬物療法認定薬剤師
  • 栄養サポートチーム専門療法士
  • 小児薬物療法認定薬剤師
  • 認定実務実習指導薬剤師
  • 日本DMAT
  • 病院薬学認定薬剤師  など

業務内容

調剤補助要員として事務員の力をお借りして、薬剤師は処方監査や外来患者指導など薬学的知識を発揮し、薬物治療に専念できる業務へ配置するように進めています。患者説明はプライバシーの確保のため個室を設け、落ち着いて話ができる環境を用意してあります。院内処方箋には、腎機能や調剤総数を表記できるようにし、薬学的評価や調剤ミス防止に役立てています。今後は調剤分野における新しい医療機器やIT機器の導入により、さらに機械的な業務との切り離しが進むことが予想されます。

アンプルピッカー(自動注射払い出し機)、注射薬監査システムを導入し、安全に薬剤を取りそろえることが可能となっています。アンプルピッカーで取り揃えられない薬剤は、ハンディ端末で認証することで、薬剤師以外の事務員やSPDでも対応できるようしています。注射業務でも薬剤師は処方監査に重点的に関わり、薬学的知識を発揮して薬物治療へ貢献していきます。

品目数はだいぶ減りましたが、定期的に院内製剤を調製しています。市販化されている製剤が増えてきていますが、新規で作製を依頼されることもあります。参考書籍や文献はありますが、情報が少ないことが多く、試行錯誤しながら改良を加えよりよい製剤を作製するという、従来の薬剤師の能力を発揮する分野と言えます。使用するにあたっては、まずは倫理委員会に承認をとり、薬事審議会で最終決定をしてから使用許可が下ります。

事務員により取り揃えを行い、薬剤師が最終調剤し、その後監査、調製、調製後監査と4人の薬剤師が関与しています。さらに外来では初回化学療法導入患者のレジメンを認定薬剤師がチェックし、病棟は病棟担当薬剤師がレジメンチェックと投与前薬剤チェックを実施しています。調製ではアイソレーター(安全キャビネット)を導入し、スタッフの被曝リスク低減が可能となりました。

残念ながら外来化学療法室では、人員不足のため薬剤師を配置しておらず、薬学的管理や患者指導が直接できていない状況です。副作用マネジメントが必要なリスクの高い薬剤を多く扱っているので、一刻も早く整備したいと考えています。将来を見越して、化学療法専用の説明室を備えてあります。

医薬品に関する情報は日々大量にアップデートされ、それを管理して必要な部門へ届ける必要があります。ありとあらゆる医薬品情報を専門的に扱いこなす部門が医薬品情報室drug information(DI)室です。そのため院内からの医薬品に関する質問に対応するのもこの部門となります。情報といっても、使い方次第で生命を脅かすことにもなる医薬品情報のため、取扱いには非常に慎重になります。

また、医薬品を処方する為に電子カルテやオーダリングと言った電子システムを利用することが多くなったため、正しく処方できるように医薬品マスタを整備するのもDI室の大きな役割です。マスタ作成する際にはあらかじめ最大投与量や併用禁忌薬剤など必要な情報をセットし、安全に処方ができるように管理しています。

一般病棟6病棟全てに薬剤師8名(中央業務との兼務も含む)を配置しており、病棟薬剤業務実施加算を算定しています。病棟担当薬剤師専用の部屋が1病棟1部屋用意されており、スペースも十分であり恵まれた環境で仕事を行えています。当院の病棟薬剤師は、持参薬の利用と管理、配薬業務に対応しております。病棟にも事務員を2名配置しており、主に上記の管理業務を対応しているため、薬剤師が薬学的管理に専念できるようになっています。

HCU、ICUの2病棟に薬剤師3名でシフト対応しています(中央業務との兼務も含む)。救急外来では薬剤管理のみ携わっています。加須病院へ移転とともに3次救急・ICUが開始し、救命救急センターで取り扱う薬剤(麻薬、解毒剤、拮抗薬など)が種類も数も増えました。緊急性が高く、投与する際に注意の多い薬剤を同時に使用することが多いため、薬剤のアドバイザーとして薬剤師が欠かせません。薬学的管理のみではなく医療安全の観点からもとても重要な存在になります。

入退院支援センターには薬剤師を配置していませんが、ITを活用して薬剤部内にいながら患者の術前休薬指示を確認することができるようになりました。外来部門で手術前に来院された患者のお薬手帳等の情報をスキャナーすると、その情報が文書化され電子カルテに取り込まれます。医師と事前に協議し、ガイドラインなどをもとに作成した院内休薬リストを活用して休薬指示を医師が出し、それを薬剤師が確認しています。ITを駆使して最小限の関わりで医師の業務軽減、安全性の担保を実現することができました。

ICT/AST、医療安全、NST、化学療法、救急医療、入退院支援センター、災害医療に認定などを取得した専門性の高い薬剤師が参加しています。多職種連携してカンファレンスやラウンドなどを行っています。診療報酬の関係もありますが、次から次へと薬剤師の参加を求めるニーズが止まらない印象です。認定薬剤師取得に対する病院としての支援ももちろんあります。

その他(採用関連)

新人・中途採用研修

専任の担当薬剤師を3名つけて、1年間計画に沿って丁寧に研修していきます。4月の新人入職を例にすると、まずは調剤室、注射室、化学療法調製業務を中心にローテーションします。監査業務を夏頃、半直業務を11月ごろ、当直業務を1月ごろから開始していく計画です。その間には定期的に研修を実施していき日々の不安や問題点をヒアリングしていきます。研修内容はすべて項目達成方式で、わからないまま研修が進行しないように安心して業務内容を身につけられるようにサポートしていきます。

病院薬剤師の評価、価値が日々高まっていく一方で、病院に薬剤師が集まりにくいことがどこの施設でも問題となっております。できることがたくさんあるのに、さらに貢献できるのに人材不足でできないという歯がゆさを痛感しています。薬剤師として目指すやりたいことが病院薬剤師の業務だと、薬剤師の卵たちになんとかわかってもらえるように、私たちは活躍と成長をしつづけなければなりません。未来の薬剤師として生き残れるよう、一緒に働いてくれる薬剤師と共に発展していけたらと願っています。