臨床検査科について

臨床検査科は「生化学・免疫・血液・輸血検査部門」「一般・病理・細菌検査部門」「生理・内視鏡検査部門」の3部門に分かれ業務を行っています。部門統合により幅広い知識とその中に専門性も兼ね備えられるよう努力しています。患者さんに安心して検査を受けていただけるよう、幅広い知識と専門性を活かすとともに、多職種と連携しながら正確で信頼性の高いデータを提供しています。

採血室

朝8時から採血台6台を稼働し、採血の待ち時間が15分以内となるよう、各部門から人員を配置して検査科全体で協力する体制を整えています。

*朝8時30分からは病棟採血にも協力しています。

業務内容

生化学・免疫・血液・輸血検査

生化学・免疫・血液・輸血などの血液検体を検査する部門となっています。
血液検体を扱う部門が協働することで、採血→検体の確認→測定→データ確認の一連を把握することができ、正確性の向上につながっています。

血糖値や肝機能・腎機能・脂質などの生化学項目や感染症・腫瘍マーカー・甲状腺ホルモン・心筋マーカーなどの免疫項目は、自動分析装置を用いて測定を行っています。疾患の診断や治療、経過観察などに役立てるために、迅速かつ精度の高い検査を目指しています。

赤血球数やヘモグロビン量などから貧血の有無や、白血球数から炎症の程度などを把握できる血球算定検査や白血球の形態分類などを、自動分析装置を用いて検査しています。 機器で分類できない場合については、臨床検査技師が顕微鏡を用いて分類します。骨髄穿刺検査では、標本作成から細胞分類までを行っています。また、血栓症の治療で使用している薬の効果判定や手術前検査として凝固・線溶検査を行っています。

安全な輸血のための検査として、血液型検査や不規則性抗体検査、交差適合試験を行っています。また、血液センターから供給される輸血用血液製剤を適正に管理しています。

一般・病理・細菌検査

当院では一般・病理・細菌検査が連携し検査を行っています。この3部門が協働している検査室は多くありませんが、一般検査、細胞診検査、細菌検査では同一の検体を使用することも多く、情報共有が円滑に出できることにより、検査精度の向上、お互いのスキルアップにつながっています。

一般検査では、主に尿・便・髄液・体腔液(胸水・腹水・心嚢液)などについて調べています。尿検査では、尿定性や尿沈渣を自動化し、必要に応じ顕微鏡で鏡検し出血や尿路感染、異型細胞の有無などを検査しています。

病理検査室は、千葉メディカルセンターと業務連携し、デジタルパソロジーを用いた遠隔病理診断を行っています。また作業環境(ホルムアルデヒド・キシレンの曝露)を改善するために設備を整えました。

細菌検査室は、様々な検査材料(血液・喀痰・尿・便・膿・胸水・腹水など)から発熱や咳、下痢などの感染症の原因となっている菌の種類を顕微鏡的検査、培養検査などの手法を用いて検索し、その菌に有効な抗菌薬を調べるために薬剤感受性検査を実施しています。

生理・内視鏡検査

生理検査は心臓・肺・脳・神経などの生理的機能を直接患者さんに接して、患者さんにご協力いただきながら実施する検査です。主に心電図検査、呼吸機能検査、脳波検査、神経機能検査、超音波検査などがあります。当院では臨床検査技師が耳鼻科検査、心臓カテーテル検査にも従事しており、健診センターや内視鏡センターでも活躍しています。当院は三次救急病院であり、昼夜問わず多種多様な病態の患者さんが来院、入院されており、心臓カテーテル検査、内視鏡検査では緊急検査に備え24時間対応しています。

所属学会としては日本超音波医学会、日本超音波検査学会、日本不整脈心電学会、日本消化器内視鏡技師会に所属し、認定超音波検査士(循環器・消化器・表在・健診)、認定心電検査技師、消化器内視鏡技師などの認定資格を取得した技師もおり、検査の質向上および後進の育成を行っています。また、地域医療への貢献を目的として超音波検査の共同利用も行っており近隣の医療機関からの検査依頼にも応えています。

内視鏡検査には、医師・看護師・内視鏡技師(臨床検査技師)の3職種が携わっています。内視鏡スコープを体内に挿入するのは医師ですが、内視鏡技師は医師の指示のもとに内視鏡を介して挿入した処置具を操作し、ポリープ切除や止血などの処置を行っています。また、スコープを適切な方法で洗浄・消毒することも内視鏡技師の仕事です。内視鏡検査が安全かつ円滑に行えるよう取り組んでいます。

医療機器

機器名 型番 台数
生化学自動分析装置 BM6070G 2
化学発光酵素免疫測定装置 LUMIPULSE L2400 2
グリコヘモグロビン分析装置 HA-8181 1
HA-8182 1
多項目自動血球分析装置 XR3000 1
XR1000 1
塗抹標本作成装置 SP50 1
多項目自動血液凝固測定装置 CN3000 2
全自動尿分析装置 AX-4061 2
尿中有形成分分析装置 UF-5000 1
全自動便中ヘモグロビン分析装置 OC-SENSOR PLEDIA 1
全自動輸血検査装置 Ortho VISION Swift 1
血液ガス分析装置 ABL90 FLEX PLUS 1
ABL90 FLEX 3
全自動迅速同定・感受性測定装置 RAISUS S4 1
血液培養自動分析装置 BACTEC FX 2
全自動遺伝子解析装置 FilmArray 1
全自動核酸検査装置 LoopampEXIA 1
バーチャルスライドスキャナー NanoZoomer S210 1

機器名 型番 台数
超音波診断装置 Aplioi800 1
Aplioi700 1
AplioAverifia 1
Aplio400 2
Aplio300 1
Xario200 2
LOGIQ Fortis 1
EPIQ CVXi 1
心電計 FCP-9800 1
FX-8800 3
FX-7542 3
ホルター型心電図検査装置 Syne Scope 1
エルゴメーター アンギオcpet 1
血圧脈波検査装置 BP-203RPEⅢ 1
SPP PAD4000 1
肺機能測定装置 FUDAC77N 1
一酸化窒素ガス分析装置 NIOX VERO 1
呼吸抵抗計 MostGraph-01 1
簡易SAS携帯型睡眠ポリグラフ LS-140 3
睡眠時無呼吸精密検査装置 ソムノスクリーンBTシステム 1
脳波測定装置 EEG-1200 1
筋電図・誘発電位検査装置 MEB9600 1
神経機能検査装置 MEE2000 ニューロマスターG1 1

各種実績

・血液検体 7,000~8,000件/月

・尿検体 3,000~3,500件/月

・細菌培養検体 1,600~1,900件/月

・病理検査 3,300件/年

・超音波検査(心臓以外) 850~1,000件/月

・心臓超音波検査 220~270件/月

・心電図検査 1,800~2,100件/月

・呼吸機能検査 550~800件/月

・脳波検査 20~35件/月

・タスクシフト/シェア指定講習会修了者 29名

・日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡技師 10名

・日本超音波学会 超音波検査士 消化器領域 5名

・日本超音波学会 超音波検査士 循環器領域 5名

・日本超音波学会 超音波検査士 表在領域 2名

・日本超音波学会 超音波検査士 健診領域 1名

・日本不整脈心電学会 認定心電検査技師 4名

・日本不整脈心電学会 心電図検定1級 2名

・日本不整脈心電学会 心電図検定2級 5名

・感染制御認定微生物検査技師 1名

・認定臨床微生物検査技師 1名

・認定輸血検査技師 1名

・認定血液検査技師 1名

・認定一般検査技師 1名

・日本臨床細胞学会 細胞検査士 3名

・埼玉県肝炎コーディネーター 1名

・同学院 緊急臨床検査士 18名

・同学院 二級臨床病理技術士 各種延21名

エルゴメータ運動負荷心エコー検査で診断・治療に繋がった2症例,長江結乃・関口知詠子・神澤和樹・佐野恵・御手洗友海・猪浦一人,第51回埼玉県医学検査学会(2023年12月、埼玉)

全自動尿中有形成分分析装置UF-5000における「Atyp.C」の有用性の検討,菊池航介・宮内優太・大山絵里香・村田知香代・辻智恵子・山根潤也・猪浦一人,第51回埼玉県医学検査学会(2023年12月、埼玉)

総ビリルビンの測定値が異常高値を呈したIgG-λ型M蛋白血症の1症例,落合仁美・佐藤祥子・下元怜美・加藤鉄平・畠山結那・小室汰樹・太田恵・猪浦一人,第51回埼玉県医学検査学会(2023年12月、埼玉)

多発性骨髄腫患者で見られたクリオグロブリンにより測定に苦慮した1症例,加藤鉄平・佐藤祥子・落合仁美・下元怜美・畠山結那・小室汰樹・太田恵・猪浦一人,第51回埼玉県医学検査学会(2023年12月、埼玉)

当院での外来採血業務運用の見直し,下元怜美・佐藤祥子・落合仁美・加藤鉄平・畠山結那・小室汰樹・太田恵・猪浦一人,第51回埼玉県医学検査学会(2023年12月、埼玉)

培養結果から見たClostridioides difficile抗原・トキシン検査の有用性,山根潤也・佐藤裕太・山津圭子・菊池航介・宮内優太・辻智恵子・猪浦一人,第51回埼玉県医学検査学会(2023年12月、埼玉)

病院移転に伴う生理検査室の改善点,須田美菜子・神澤和樹・関口知詠子・村田貴司・大山英美・菊地久代・猪浦一人,第51回埼玉県医学検査学会(2023年12月、埼玉)

XYZ世代別 口に出しては言いにくい本音を知って今後に繋げていこう!,猪浦一人,第51回埼玉県医学検査学会 学会企画公演2(2023年12月、埼玉)

タスク/シェアにおける当院での臨床検査技師の内視鏡業務,山田貴士・村田貴司・猪浦一人,第59回首都圏支部関東甲信支部医学検査学会(2023年11月、横浜)

尿沈渣の精度向上 異型細胞の鑑別,猪浦一人,第14回日本臨床一般検査学会・第20回スキルアップ講習会(2023年9月、岐阜)

第31回BANDO-ALS(ICLS)コース アシスタント,山田 貴士,埼玉東部消防組合(2024年2月)

済生会加須病院の働き方について,猪浦 一人,埼玉県臨床検査技師会 ワーク・ライフバランス研修会(2024年1月)

初心者・初級者 末梢血液形態セミナー,加藤 鉄平,埼玉県臨床検査技師会 血液検査研究班研修会(2023年11月)

新時代を創る者達へ送る一般検査への思い,猪浦 一人,2023年関甲信・首都圏支部一般検査研修会(2023年10月)

検査室で考えるゼネラリストとスペシャリスト,猪浦 一人,2023年度認定一般検査更新研修会(2023年10月)

病理標本のデジタル化 ~デジタルパソロジーの現状から今後の展望~,大山 絵里香,埼玉県臨床検査技師会 病理検査研究班研修会(2023年10月)